よく若い人が「年金なんてあてになあらない」、「大してもらえない」とか言っているのを聞くけど、やっぱり僕らの年金はあまり期待できないのかな?
この先少子高齢化がさらに進んだら、年金の給付額が大幅に減らされるんじゃないかと不安になるわね。
いたずらに不安がらないで!
まずは年金のことをよく知りましょう。そうすれば自分の課題が明らかになり、必要な対策を考えることができますよ!
こんにちは、投資経験25年のサラリーマン投資家&FP2級技能士、みつぞうです。
年金に対する疑念の声をよく聞きますが、年金のことを正しく理解していないと思える発言も見受けられます。
今日は、年金の財政がどうなっていて、保険料や給付額ががどのように決まるのか、ご紹介します。
この記事を読むと、
- 日本の年金財政のしくみと保険料
- 将来の受け取れる公的年金 (国民年金と厚生年金) の水準
のイメージがつかめます。
簡潔に見やすく書いていますので、忙しい方でもお気軽にご覧ください。
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年金財政のしくみは?
現在の年金財政のしくみ(フレームワーク)は、2004年の年金制度改正で決められました。
年金財政のフレームワーク(2004年年金制度改正)
- 保険料の上限を設定した上で、上限まで引き上げる
- 基礎年金の国庫負担を1/2に引き上げる(従来は1/3)
- 年金積立金を活用する(概ね100年間で財政均衡を図る方式。積立金を後世代の給付に充当)
- マクロ経済スライド(財源の範囲内で給付水準を自動調整するしくみ)を取り入れる
- 5年に一度、財政検証を行って財政見通しを確認し、必要に応じて給付と負担のあり方を見直す
2004年年金制度改正の狙い
2004年の年金制度改正の狙いは、
「今後の少子化の中にあっても、年金の受給開始時点(65歳)での標準的な給付水準を現役サラリーマン世帯の平均所得*1の50%*2を上回ることを目指す。」
*1 現役男子の平均手取り収入額
*2 この割合を所得代替率と呼ぶ
です。
そして、既に生まれている世代が概ね年金受給を終えるまでの期間(例えば95年間=2100年まで)において、給付と負担の均衡を考える方式(アメリカと同じ方式)をとっています。
よって、現在生まれている世代が年金を受給している間は、現役世帯の平均所得の半分程度はもらえるように考えられているということです。
年金の保険料は設定した上限に達したので、もう上がらない
国民年金の保険料の上限は16,900円に設定されており、平成29年にその上限額に達しましたので、以降は上がりません。
また、厚生年金の保険料率は、13.934%(平成16年時点)から段階的に引き上げ、平成29年に上限の保険料率18.3%に達しました。
よって、今後保険料率は上がりません。
「今後の少子高齢化で保険料が上昇するのでは?」という懸念に対しては、上述のように制度上保険料の上限が設定され、すでに上限額に達しましたので、基本的には保険料は上がらない見込みです。
国民年金の国庫負担(税金による負担)が1/2に引き上げられた
国民年金の財源のうち国庫負担の割合は1/3でしたが、平成21年に1/2に引き上げられました。
これにより、年金財政を安定させ、少子化による保険料の減少を補うことが期待されます。
年金の財源は?給付額はどのように決まる?
さて、ここで年金の財源はどのようになっているか確認してみましょう。
年金は、その時の現役世代が納めた保険料に国庫負担分(税金)を加えた原資を、その時の受給世代の年金給付に充てる「賦課方式」をとっています。
納めた保険料を将来の自分のために蓄える積立方式ではありません。
年金財源の準備方式 | 特長 |
---|---|
賦課方式 | ・現役世代の保険料を原資とするため、現役世代の生活水準に応じた年金を受給できる ・景気変動やインフレの影響を受けにくいため、年金生活を安定させやすい |
積立方式 | ・保険料の納付時期と年金の受給時期に大きな時間差があるため、景気変動の影響を受けやすい ・急激な物価変動(上昇)が起こったときに年金の価値を維持するのが難しい |
少子高齢化で財政が厳しくなったときのための年金積立金
将来、少子高齢化が進むと現役世代が減り、年金の主たる原資である年金保険料が減少します。
これを補うのが年金積立金です。
年金積立金は、保険料と国庫負担を加えた原資から年金を支払ったあと残ったお金を積み立てたものです。
下の図は、厚生年金の財源の内訳を予想したグラフです。
2035年ころまでは、年金の収支がプラスで余剰金を積立金に振り替えることができる見込みですが、それ以降は積立金の運用益に加えて積立金自体を取り崩して財源を補うことになります。
年金財政は概ね 100 年間で均衡させる計画で、当初は年金給付の一部に積立金の運用収入を充て、一定期間後からは少しずつ取り崩した積立金を加えます。
概ね100年後には年金給付の1年分程度の積立金が残るよう、財政計画が定められています。
年金給付の財源(財政検証で前提としている概ね100年間の平均)は、その年の保険料収入と国庫負担で9割程度を賄っており、積立金から補う財源は1割程度です。
現在、年金給付に必要な積立金は十分に保有しており、積立金の運用に伴う短期的な市場変動は年金給付 に影響を与えません。
次のグラフは、年金積立金の運用資産額の推移を表したものです。
年金積立金の資産額は、2021年度末時点で約196兆円に達しています。
結局、年金の給付額はいくらぐらいか?
年金の給付水準は、所得代替率で表されます。
2019年度の所得代替率は61.7%でしたが、給付水準調整(マクロ経済スライド)を行って徐々に所得代替率を下げていき、100年後の所得代替率50%を維持するように調整します。
所得代替率は将来にわたって50%以上にすることが法律で定められています。
結局、年金の給付額はいくらになるんだろう?
所得代替率の見通しは、今後の経済成長と労働参加の進み具合によって変わります。
2019年の財政検証について確認してみましょう。
所得代替率は、将来の経済成長と労働参加の進み具合を6つのケース(ケースI~ケースVI)に分けて試算し、5年ごとに検証しています(財政検証)。
直近では2019年に財政検証を行いました。
経済成長と労働参加の進み具合の6ケースのうち、3番目のケースIIIの場合を見てみましょう。
このケースでは、将来的に所得代替率50.8%が維持されますので、年金受給開始が2047年では24.0万円、2060年では27.6万円を受給できることになります。
将来の経済成長と労働参加の状況によって変わるのは前述のとおりですが、現役男子の手取り収入の50%程度を受け取れる老齢年金は、やはり老後の収入の柱であることは間違いないと思います。
注意することとしては、上記の所得代替率が、夫婦2人(夫の基礎/厚生年金と妻の基礎年金)を標準世帯として計算していることです(夫と妻の役割が逆の場合を含む)。
個人事業者の世帯や単身者世帯は、現役男子の手取り収入の50%がもらえるわけではないため、老齢年金以外の老後資産構築が重要となります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、日本の年金財政しくみと将来の公的年金の水準の決まり方について、ご紹介しました。
公的年金についての理解を深めて、自分の世帯の受給水準を確認し、不足する分について早くから対策されることをお勧めします。
本日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございました!!
次の記事も老後の生活費について役立つので、参考にしてみてください。
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